丁寧に作られた(?)『ひだまりスケッチ×365』OPの画面サイズによる違い

 現在絶賛放送中の『ひだまりスケッチ×365』。シャフト制作によるきめ細やかな映像&独特な演出も話題になっていると思われます。そんな『ひだまりスケッチ×365』のキーステーションであるTBSおよびBS-i(TBSのBSデジタル版)ですが、この放送局で流れるアニメーションには妙な決まり(?)があります。
 それは16:9のワイド制作にも関わらず、地上波では両端を切って(サイドカット)4:3のノーマルで放送するということです。
 いまだに何故そのようなことが行われているのか理解できませんが、おそらく数週遅れで放送されるBSデジタルに配慮しているのでしょう。って理解できてますね(笑)。
 ただそのことには勿論、弊害があります。自分が初めて「こりゃねぇな」と思ったのが『ああっ女神さまっTVシリーズ(第一期)のエンディングでした。石田燿子『願い』のサビ前のカットなのですが、黒を背景に画像がどんどん縮小していくというもので、4:3の全画面で見ていた画像が縮小されるにしたがって16:9の全貌が見えていくという興醒めなものでした(嗚呼、うまく伝わっているか不安だ……。見てもらった方が早いのですが、YouTubeで探してもありませんでした。残念)。画面サイズに対して縮小していくのだから、4:3画像で縮小していくか何かしらの対策を打てるはずなのになあ、なんて思ったものでした。ちなみに当時はBSデジタル視聴環境下になかったため、16:9のワイドでどうなっていたのかは未見です。
 しかし、それはそれで仕方ないと考えていたのも事実です。そんな中、『ひだまりスケッチ×365』公式サイトの「与太日記」(2008/08/01)で以下のようなことが書かれていました。

地上波(TBS・MBSCBC)は両端を切って4:3にして、
収まりが悪い時は絵を動かしたりして調整して放送しているのですが、
ときどき本当にどうしようもないカットが…(´・ω・`)


例えばOPのとあるカットなんですが…(OP169)
ゆのっちと沙英さんがあまりにも(´・ω・`)なので、
(OP43)シャフトさんが地上波用に作り直してくれたりしています。(OP43A)


他にも何カットかあったりしますので、
よろしければ探してみてくださいませー(´ω`)ノ

http://www.tbs.co.jp/anime/hidamari/08special/yota_diary.html

 
 該当カットは、そのまま両端を切ると、左端のゆのと右端の沙英の体が切れてしまうため、横サイズを揃えて上部を新規に追加しています。何もないと不自然な画面上部に「HIDAMARI」という文字を入れていたため、その違いは見ていても分かりやすかったです。でも、そのようなカットが「何カットかある」というのですから、探してみようと思いました。
 方法としては、16:9ワイド版と4:3ノーマル版をとにかく比較。はじめは動画編集ソフトで不透明度50%で重ねた動画を作り、それをじっくりと観察。怪しいところは画像キャプチャし、画像編集ソフトで重ねて確かめる。だけど、横位置をずらしているカットはあるものの、作り直しカットが全然見つからない!本当にこのような作り直しカットがあるのか不安になっていました。よくよく文章を読み直すと、どこにも「オープニングにある」とは書いていないし……。
 ですが、何回か見ていて1箇所だけ発見できました。それは次のカット!
 

 ずばり「にゃ〜ん」カットです。ゆのパンツです。最大の違いは「にゃ〜ん」の文字が小さくなって画面に収まるようになっています。さらに縦のラインの間隔が4:3ノーマルの方が少し狭くなっています。ゆのが痩せたのでしょうか?下の重ねた画像(不透明度50%)を見ると、そのままサイドカットした場合では「にゃ〜ん」の文字が入りきらないのが分かります。
 これだけかよっ!だけど公式ページの言葉を信じるならば、他にもあるかもしれません。単純に自分の能力が低くて、探せなかっただけかもしれません。もし知っている人がいたら、教えて欲しいものです。それでも、このようなほんの少しの心遣いが大変嬉しい一視聴者の自分でございます。

ワイド制作物を両端カットすることに対する個人的見解

 そういう契約で作っている(=勝手に加工しているわけではない)のだから、それ自体には問題はありません。ただ制作者は大変だなあ、と思います。最近では「スタジオジブリ・レイアウト展」@東京都現代美術館が開催されるなど、レイアウトに対する評価(というか、アニメーション制作におけるレイアウト自体)に注目が集まっているように思われます。両端を切られてもそれなりに見られるように制作するということは、どうしたってワイド画面のポテンシャルを100%引き出すことはできないわけですから。それは例えば、DVDとしてTV画面で見られるのまで考慮にいれて映画を制作するようなものです。それって、不可能ですよね。仮にそれができたとしても、それは映画制作とは異なる才能だと思いますし。だからこそ、TBSもこのわけわかんない慣習を捨てて、地上波でも両端カットでない映像を見せて欲しい、と思うのです。だけど、制作者は両端カットを気にして制作しているのかなあ。個人的には少し疑問ですが。
 追伸:大和田秀樹先生の新作『ぶっちぎりCA』(3)&『ムダヅモ無き改革』ですが、連動キャンペーンを打っている割には『ムダヅモ』がどこにもないんですけどっ!どうした竹書房っ!もっと頑張れっ!