アニメ『四畳半神話大系』ロゴデザインの素晴らしさを考える

 お世話になっております。id:noir_kでございます……なぞと、気の利いた社会人なら辞書登録しているような文章から始まりました本エントリ。最近は暑かったり寒かったりと季節の変わり目ですが、いかがお過ごしでしょうか?えっ……そんなテンプレ文章いらないから早く本題に入れって?分かりましたよ、もう。久しぶりだからどんな感じで始めれば良いのかあがいているだけじゃないですか。結果よりもそのようなプロセスを見て評価してくださいねっ!(意味不明)

 なぞといつものような駄文っぷりで少し調子を取り戻してきたわけです(笑)。ありがたいことに世間様からは「アニメブログ」として認知されております当はてダですが、全然更新がないかと思いきや、唐突にTwitter萌え4コマ相似説みたいな懐かしい感じの痛さを演出していたりします、はい。そんなid:noir_kの思惑(?)とは無関係に、世間ではとっくのとうに2010年春新番が始まりましたね。みなさんは何を楽しんでおられますか?『Angel Beats!』?『けいおん!!』?……いやいや、自分のおすすめはノイタミナ枠(前)でお馴染みの『四畳半神話大系』ですね!

素直に嬉しい森見登美彦作品のアニメ化

 森見登美彦の同名小説(太田出版⇒角川文庫)を原作とする『四畳半神話大系』ですが、この原作は多少ライトな雰囲気を醸し出しつつも、いわゆる一般文芸。意外とアニメ化されることの少ないメディアです。原作選択からして極めてノイタミナらしいといえばそれまでなのですが(笑)。同氏の作品はどれも似たような世界観(京都で、大学生で、あまり学校には行っていなくて、いわゆる非モテというかオールドタイプで……)なのですが、『夜は短し歩けよ乙女』(角川文庫)で装丁画*1を担当した中村佑介さんの美麗だがある意味「普通じゃない」イラストを基盤として、今回のアニメ化が行われていたりします。

 内容についてもいろいろ言いたいことは山積みなのですが、とにかく面白い。いままで似たよう取り組みはなされていましたが、今回ほどナチュラルかつストレンジなものは珍しいのではないかと思います。これが新しいストリームを作り出せるのかはおいておいて、本エントリではアニメ化発表の時から使用されているタイトルロゴに注目してみたいと思います。

四畳半自体が「四」を表していることの「発見」

 まずは急に『四畳半神話大系』のロゴを思い出せない人のために公式ページの様子をさっくり引用させていただきます。


アニメ『四畳半神話大系』公式サイトより。

 ご覧の通り、いわゆる四畳半の上面図をもとにした「四」のマーク(タイトルの一文字目)になっています。これって地味に素晴らしい「発見」だと個人的には思っているのですが、ベースになっている四畳半の組み方はあまり普通でない気がします。
 一般的に四畳半というのは、一畳(長方形*2)×4と半畳(正方形)×1からできています。要するに、どこに半畳を配置するか、という問題なわけです。きわめて普通な思考をすると、四畳半の典型的な組み方は、このロゴマークに使われてるようなもの(左)ではなく、メインのイラストの背後にあるような中心に半畳がくるタイプ(右)だと思います。

 そこで考えたのですが、一口に「四畳半」といっても数多くのパタンが考えられるはずです。というわけで、すべてのパタンを考えてみました(笑)

「四畳半」を描き出してみよう!

 まずはベースとなる3×3のマス目を考えます(左)。ここに次のような順序で畳を配置していきます。

  1. まず半畳の位置を決める(9通り)。
  2. 次に左上から右、下に向かって一畳を埋めていく。
  3. 一畳は横置きを基本とし、その後に縦置きを考える。

 またルービックキューブをするひとにはお馴染みな考え方なのですが、半畳を配置する9つのマスは、性質的には次の3つに分類されます(右)。

  • A.四隅(4種類)
  • B.辺の中央(4種類)
  • C.中央(1種類)

 それでは上に上げたルールで順番に描き出していきます。

A.四隅

 半畳のパタンは4つ、ひとつの半畳につき4つになります。合計で16種類
 まず左上のパタンで作成した4つを時計方向に90度ずつ回転させていくと完成です。

B.辺の中央

 残念ながら、辺の中央に半畳があるパタンでは、図のように半畳が3つできてしまいます。というわけで0種類。

C.中央

 きわめてしっくりくる配置です。図のように2種類のみ。綺麗ですねー。

まとめ:4畳半のパタン

 というわけで、4畳半のパタンは合計18種類になります。……圧巻です(笑)。

4畳半パタンから漢字の「四」を作ってみよう!

 次に上で描き出した4畳半パタンにピンクの太線で装飾して、漢字の「四」を作ってみましょう。「四」を作るためのルールは以下の通り。

  1. 上辺に縦線が2本交わっていること(漢字の「四」に最低限必須な条件)。
  2. 線は途中で切れないこと(一畳の長辺が半分で終わっていないこと)。
  3. 真ん中の横線は左のみ、右のみ、両方のいずれか。

 この条件で描き出すと、なんと次の4種類しか残りません!

 結論としては、18種類の4畳半パタンから4種類の「四」が作れました。その中でもっとも最適なのは……ロゴで実際に採用されているもの(右上)ですね!やっぱり実際に使われているロゴは最適解だったのです!

追伸:実は他の漢字も作れると思いますよ。例えば……。

kbymj@noir_k 映画サークルみそぎの「み」も四畳半で表現されていたはずですよーlink
※第2話を確認しましたが、Cのパターンの真ん中の半畳に「み」が埋め込まれている形です。似たようなものは作れますね。

おまけ(というか本題だったりします(笑))


サークル名:アニメルカ製作委員会(V-17)
       (アニメルカ公式ブログ
頒布:第十回文学フリマ
開催日:2010年 5月23日(日)
会場:大田区産業プラザPiO 大展示ホール
文フリ特価:800円

 明日(というか今日)行われる「文学フリマ」で出るアニメ批評系(?)同人誌です。id:ill_critiqueさんとid:episode_zeroさんによる責任編集!豪華な執筆陣に大期待です。……自分も「池袋ダラーズはテレビアニメの夢を見るか?」という論文(?)を寄稿しております。是非ご一読いただければ嬉しいです。詳細はアニメルカ公式ブログで。

*1:音楽屋さん風に言うなら「ジャケ絵」。

*2:1:2の長方形ですね。よくよく考えると縦横比が1:1でないものが基準になっているのも不思議な話なのですが