タイトルだけから判断する2008年7月新番チェック

 2008年4月から始まった1クールアニメが続々と大団円を迎える中、いかがお過ごしでしょうか。今週から始まる7月新番を前に、何を見ようか悩んでいる人もすくなくないと思います。ここで真面目にお勧め作品をプッシュしたりしても良いのですが、せっかくですので趣向を変えて、一切の先入観を捨てて、タイトルだけから判断するという大変無責任な2008年7月新番チェックをやってみたいと思います。
 タイトルは作品の顔。タイトルをじっくりと見れば、その作品の善し悪しが分かるというものです(本当か)。とにかく、そんな信念を元に7月新番である21作品を紹介していこうと思います。ちなみに今期は続編的なものが少なくないのですが、サブタイトルに相当する部分にをざっくり無視して、メインタイトルの部分だけから判断していきます*1

1単語で意味もなんとなく分かる

 ともに単語としての意味は通じます。『一騎当千』は古い戦いにおける大層強い武人の話ではないかと想像できるし、『スレイヤーズ』も「slayers」と解釈すれば「殺す人たち」(何をかは分かりませんが)の話だと分かります。あ、もしかしたら「殺す人の○○(slayer's)」かもしれませんね。タイトルから想像される設定は、おそらくそう遠すぎることはないでしょう。安心してテレビ画面に向かうことができそうですね。

1単語で意味不明(造語)

 はっきり言って意味不明です。『セキレイ』はもしかしたら何かの略語かもしれません。『ショムニ』(=「庶務二課」)みたいな感じで、たとえば「隻眼の霊能力者」とか。……って宜保愛子か!なんて冗談はおいておいて、この手の4文字タイトルって、少し前の結構流行りましたよね。『らき☆すた』とか『キミキス』とか。売れそうな匂いはしますけど、結局どんなタイトルであれ、大抵は4文字くらいの略称で呼ばれちゃうんですねよ。『きみある(君が主で執事が俺で)』みたいな感じで。
 なんにせよ、内容については想像不可能です。

固有名詞系で意味もなんとなく分かる

 こういう固有名詞系は判断に迷います。だって『夏目友人帳』って言っても、夏目がどこの誰だか分からない以上、その友人関係のストーリーだろうと想像できても、具体性に欠けます。何も知らない外国人に『サザエさん』なるタイトルを見せるようなものです。きっと斜め上を行くような勘違いをするでしょう。
西洋骨董洋菓子店』なんかは、骨董店なのか洋菓子店なのか、はたまた西洋骨董なのか西洋洋菓子なのか、ってこれはもう意味が重複しちゃってるよ!みたいな感じです。よく意味がつかみにくいです。でも、なんとなく洋菓子店の話なんだろうな、なんて感じます。
 このような固有名詞系は内容を具体的に想像できないからこそ、想像とは違った新鮮な驚きに溢れていそうです。是非、第1話を見てみましょう。

固有名詞系で意味不明(造語)

スケアクロウマン』って、ちょっと懐かしい感じがするネーミングです。『ウルトラマン』みたいなヒーローの系列なのでしょうか。そういえば『ゼブラーマン』なんてのもありましたね。適当に漢字を当てれば「助悪郎」って感じでしょうから、「悪を助ける」ということでダークヒーローもの?
恋姫†無双』は、やはり『三国無双』とかを念頭に置けばよいのでしょうか。「無双」から歴史もので、戦いものではないかと想像できます。「恋姫」なのでまず間違いなく美少女アクションでしょう。いまいち意味は分かりませんが、内容が想像しやすいタイトルだと思います。それはそれとして「†」はどのように読めば良いのでしょうか?「つのだ☆ひろ」の☆の処理と同様ですね。ちなみに電柱みたいなこの記号、たぶんセクション記号です。横棒の数を増やしていけるんじゃなかったかな。

説明+固有名詞

アーケードゲーマーふぶき』系の名称です。基本的に直球のタイトルです。『テレパシー少女 蘭』というタイトルなのですから、素直に解釈すればよくて、テレパシーを使える少女の蘭ちゃんが出てくるのでしょう。出てこないんだったらJAROに訴えちゃっても構わないと思います。その蘭ちゃんがテレパシーも使わずに得意の空手で犯人に上段回し蹴りをきめているようでしたら、見ている番組を間違えているでしょう。
鉄腕バーディー』はなんとなく想像できます。なんか二つ名みたいですね。「韋駄天お正」みたいな。でも「鉄腕」ってついてると、やはり『鉄腕アトム』を想像してしまいます。ロボットが人間社会で生きていく話なのかな?はたまた某男性アイドルグループのように、田舎でスローライフでも送ったり、電車と走りで勝負したりするのでしょうか。
Mission-E』は良く分からないですね。『X-FILE』みたいなものと解釈しましょうか。環境(Environment)とか教育(Education)とか、はたまた皇帝(Emperor)暗殺に関するミッションなのでしょうかね。気になります。
 そう考えると、分かりそうで分からないところがこの手のタイトルの面白さかもしれません。チラリズム理論ですね。見えそうで見えない部分に想像力を掻き立てる余地があるものです。ワクワクしながら待ちましょう。

2単語一般名詞系で日本語+片仮名

 とりあえず意味は通じます。『ひだまりスケッチ』っていうくらいですから、きっと美術のアニメなのでしょう。ほのぼの系ではないかと想像できます。夏の暑い日ざしというよりは、春のぽかぽか陽気みたいなタイトルです。このタイトルからはそのくらいしか読み取れませんね(笑)。そういうふわふわな無定形な感じが、作品自体のカラーになっているような気がします。

2単語一般名詞系で片仮名修飾語+片仮名

 修飾語+名詞と言ったって『ウルトラヴァイオレット』はほとんどもう1単語です。いわゆる「UV」すなわち紫外線のことですよね。7月新番にはぴったりのタイトルだと思います。UVのきつい屋外を避けて、クーラーのきいた部屋の中でテレビ画面からUVを浴びるなんて、社会派で皮肉な風刺みたいですね。
ネオアンジェリーク』は「ネオ」とある以上、「アンジェリーク」を前提としているわけでしょう。「アンジェリーク」はおそらく女性の名前でしょうから「未来のアンジェリークは君だ!」みたいなアイドル・シンデレラストーリーでしょうか。その過程で芸能界の暗部なんかを描いていたら面白そうです。最後はそれまで静観していたサブヒロンが優勝をかっさらったりして、んでもって棄権したりして、ってそれは「明日の『艦長』は君だ!」ですね。

2単語一般名詞系で片仮名+片仮名

 オール片仮名でちょっと格好いいですね。『ワールド・デストラクション』は世界崩壊後の物語でしょうか。ただ、あえて「デストラクション」(=脱構築)という単語を用いている以上、物理的でない哲学的な意味での世界崩壊かもしれません。ディスコミュニケーションの行く先にひとりひとりが完全な個として存在するようになり、「ワールド」(=世界)という概念が喪失した世界とか……って、そんなのがアニメになるのかなあ。あ、劇場版『新世紀エヴァンゲリオン』のラストみたいな感じか……。
チョコレート・アンダーグラウンド』は分かりやすいタイトル。きっと禁酒法みたいにチョコレートが規制されて地下に潜る世界における、チョコレートをめぐる物語でしょう。あっ、もしかしたら違うかも。急に思い出したのですが、大麻樹脂のブロックは「チョコレート」という隠語で呼ばれているはずです。ということは、主人公はチョコレートを守っているつもりでも、それは実は悪い大人に騙されて大麻樹脂の運び屋をさせられてた!みたいなマフィアストーリーかもしれません。
ストライクウィッチーズ』は良く分かりません。魔女たちが野球をする話ではないと信じています。……そう考えると、野球チームの名前にみえなくもないです。

ちょっと長め

 なんでしょうね。是非教えて欲しいです。きっと教えてくれる作品なのでしょう。……一応記しておきますが、30歳まで云々ってやつではないと思いますよ。そっちについては大和田秀樹先生の『ドスペラード』でも読んでいましょう。

○○(一般名詞)の○○系

 スタジオジブリお得意のヒット連発テンプレートです。『となりのトトロ』『紅の豚』など無数にあります。ヒットするかは分かりませんが、音のすわりが良いのは間違いないのでしょう。『ゼロの使い魔』は「ゼロ」がキャラクタの名前なのか「0」なのか分かりませんが、ギャンブルに強くてトンガリ顎ではないと思います。ゼロという組織に仕える使い魔の話で、忍者ものや『Xメン』的な超能力アクションみたいな感じかもしれません。
 『無限の住人』は、渋めのタイトルですね。講談社の『アフタヌーン』あたりでやってそうです。そのまま解釈すれば、終わらない日常ものでしょうか。物語の構造自体がネタになっているものは面白いですが、ありふれた他作品とどのように差別化するかがポイントになるでしょう。

○○(固有名詞)の○○系

 最後は○○の○○系で固有名詞を含むもの。最近では『涼宮ハルヒの憂鬱』がありましたが、『乃木坂春香の秘密』はやはりパロディしているのでしょう*2。「春香」と「ハルヒ」、「秘密」と「憂鬱」。同じようにヒットしたらよいですが、あまり二匹目のドジョウみたいであまりイメージが良くありません。そんなことは製作陣も分かっているので、逆に内容で勝負してきそうで期待しても良いのではないかと思います。
 『薬師寺涼子の怪奇事件簿』はそのまんまです。『金田一少年の事件簿』と同じく、ずばり薬師寺涼子が探偵役なのでしょう。怪奇事件簿ですので『地獄先生ぬ〜べ〜』みたいに霊ごとを超常的なパワーで解決していくのでしょうか。あとは主人公・薬師寺涼子をはじめとするキャラクタにかかっているでしょう。どれだけキャラが立っているかですべてが決まりそうです。是非初回は見たいタイプですね。

まとめと本気のお勧め

 以上のように分類して紹介してきましたが、タイトルなんて一目見て気に入ったものを見ればよいのではないでしょうか。何のデータも調べずに競馬の馬券を買う人も少なくないらしいですし。個人的には『チョコート・アンダーグラウンド』が良いタイトルだと思います。ネット配信オンリーらしいので、新たなビジネスモデルとしても頑張って欲しいです。が、すでに配信終了になっている第1話を見忘れたので、一気に見る気がなくなってしまいました。テレビと足並みをそろえるか、せめて遅らせて欲しいです。WOWWOWのアニメとかもそういうことありますよね。
 真面目なお勧め作品としては、続編で申し訳ないのですが、ずばり『ひだまりスケッチ×365』です。これはもう期待です。先日、幸運にも放送開始直前イベント「ひだまりないと」に行くことができて、そこで一足先にOP、ED映像を見ることができたのですが、期待感が煽られました。木曜日まで楽しみに待っていようと思います。あと世代的にはやっぱり『スレイヤーズREVOLUTION』が気にはなります。21世紀の『スレイヤーズ』がどんなものになっているのか、楽しみです。
 では、みなさん。楽しい7月新番ライフをお過ごしください。このエントリがその一助になれれば幸いです。

*1:ちなみに知っていてボケているものもあります。本当に知らないものもあります。一応、言い訳。

*2:ちなみに誰も言わないから不安なのですが、『乃木坂春香の秘密』の主役メンバがED曲を歌うのですが、そのユニット名が「N's」(エヌズ)なんですね。これは『涼宮ハルヒの憂鬱』内の学生ガールズバンド「ENOZ」(エノズ)のパロディなんだけど、最近不安になってきました。かなり確信犯的にやっている様子なので、誰か大きな声で突っ込んであげた方が良いのでは。