ブラウン管の中のパンツとシュレディンガーの猫『ストライクウィッチーズ』

 巷間を騒がせているテレビアニメ『ストライクウィッチーズ』ですが、早々にテレビ局からの規制が入るなど、独特の感性に支えられた性的とも思える描写には正直完敗です。と意図的に意味不明な1文から始めてみました。皆さんこんにちは。コミケ74初日ですよ〜。
 ですが、「スカート等を穿かずにパンツ丸出しという服装」+「魔法モードに入ると獣耳と尻尾が生える」という点を除けば普通のお話*1で、はっきり言ってとても面白いです。どのくらい面白いかと言うと、主人公の名前が宮藤芳佳(みやふじ)というのですが、最近では脚本家の宮藤官九郎(くどう)を見かけるたびに宮藤芳佳を思い出してしまうくらいです。「飛っべぇぇぇ!宮藤ぃぃぃぃぃ!!」CV千葉紗子
 そのキャンペーンコピーであり、もはや作品を離れて浸透している感すらあるフレーズに「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!というものがございます。どうやら作中でキャラクタが下半身に常時装着している布切れとおぼしき物体(しかも常時暴露されている!)は、パンツではないらしいのです。「恥ずかしいか、恥ずかしくないか」という感情論はストリートビューのごみょごみょみたいなので傍に置いておいて*2、そもそも下着とは何なのかについて考えてみようと思います。
 パンツでないとしたら水着や服に類するものだと考えられるわけですが、分かりやすい比較として、下着(パンツ)と水着はどのように分類できるのでしょうか。
 ここで思い出すのが2005年に中国で起こった反日暴動沈静化に一役買った美少女・紗綾です。その水着写真で着用しているものが、実は水着ではなく下着だったという騒動がありました当時は児童ポルノ法違反なんじゃないか、というような論争になったのですが、そもそもポルノの定義が曖昧である以上、詳細は触れません。確かにグラビアアイドルなんかが着用しているのは水着ですが、その多くにおいて水に濡れるという目的を失っていることが少なくありません。まだビーチだったりプールサイドでその格好をしていれば水着の意義があるかもしれませんが、室内や水と無関係の屋外では水着と下着の本質的な差はありません。
 一応、紗綾騒動の際に問題となったのは、水着だと思われていたものが下着として売られているものだったからです。水着として売られるものは一般に下着に比較して布地が厚かったり複層(大事なところへの当て布)で、さらに耐水(透けない等)の材質になっています。そういう意味で、物質的には水着と下着には明確な差があるわけです。逆に言えば、ただ傍から眺めるだけだったら(精神的には)、どちらでも変わりはないはずです。むしろ頭の中で下着だと思い込めば下着だし、水着だと思えば水着です。そう、それはシュレディンガーの猫のように水着と下着のどちらでもありまたどちらでもない不確定状態であり、実際に触れるまでは分からないということになります。
 例えば、街中で上半身乳バンドだけの人に遭遇したとき、まさか街中で下着丸出しとは思いませんので、何らかの水着的なファッションだと思うのではないでしょうか。しかし、本当でしょうか。もしかしたら、下着かもしれませんよ。
 アイドルイメージビデオ(特にモデルの年齢が低い場合)によくあるシチュエーションとして、例えばセーラー服のようなものの下に白水着を着込んで、クルクルひらひらスカートをなびかせていることがあります。一般的な考えとして、セーラー服の下に着用するのは水着ではなく下着のはずです。セーラー服の下に水着を着ているのなんて、着替えるのが面倒という怠惰な女学生くらいのものです*3。しかも、それは触れることはできないブラウン管の中の出来事(こういう表現ももはや死語かもしれませんね)ですので、視聴者は頭の中で水着⇒下着の変換が容易に行えます。ああエロい。
 絶対に手の届かない二次元の世界・アニメーションの中では水着と下着に差はありません。すべては受け手の思考回路に依存しています。しかし作中キャラクタのメンタリティにおいては、そこに絶対的な差が出てきます。そして本人たちが「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」と言っている(?)以上、恥ずかしくないのです*4。それが水着であれ、下着であれ。あとは貴方がそれをどう捉えるかにかかっているのです。ああエロい。
 ただ下着がエロイのは普段見えないのに、時折ちらっと見えるからだと思います。チラリズムの美学、ってやつですね。例えば丸見えの下着カタログに興奮する人や、下着そのものに欲情する人*5はあまりいないとおもいます。その上に服があっての下着なのです。『ストライクウィッチーズ』というパンツ丸出しの世界観においては、あれは見えていて当然なのです。だからエロくないし、「ゾンビだから拳銃で撃っても大丈夫です」というカプコン的な果敢で意欲的で挑発的で崇高な態度のようすらに感じられます。……あんまし本気にするなよ(笑)。

kashmir『百合星人ナオコサン』(1)86頁より。ナオコサーン!
[追記:2008-08-16]
 そういえば唐突ですが、アニメ『ひだまりスケッチ×365』のOPでサビ前の「涙がにじむ…はよう」の連続カットの1枚に「にゃ〜ん」てのがありますが、これはゆののパンツです。ここまで拡大されれば、パンツはもはやパンツでないのです。ちなみに単行本第3巻66ページ「いつもじゃないのに」3コマ目です。

 ちなみにこの一連のカットの元ネタはそれぞれ以下。

 単行本3巻6ページ1コマ目

 単行本3巻90ページ「バラバラバラ」4コマ目

 単行本3巻17ページ「♪バーグラベ〜ルバーグラベ〜ル」4コマ目
 こういう元ネタ情報って、あんまり書いている人がいないのかしらん。需要がありそうだったら続くかも。ちなみにひだスケ365関係でひとつだけ皆さんに知っていて欲しい点として、365第1話「はじめまして!?うめてんてー」のゆのの心象風景(暗い体育館の中での孤独)が宮子によって打ち破られるシーン(光の×)のBGMについて。まるで新曲かのように思われたかもしれませんが、1期第10話「ゆのさま」で刑事姿の沙英登場シーン*6のハードボイルドな曲のイントロ部分なのです。サントラでは39曲目「いざ!」です。ちなみに作曲は菊谷知樹です。
 

ひだまりスケッチ (3) (まんがタイムKRコミックス)

ひだまりスケッチ (3) (まんがタイムKRコミックス)

*1:どころか、極めてまっとうなビルドゥングスロマン。最近こういうまっすぐな成長モノは少ないですよね。

*2:自分のストリートビューに関する考えはid:noir_k:20080810:1218370509を参照。

*3:大島永遠『女子高生』の主人公・高橋絵里子みたいなタイプでしょうか。

*4:だけど捲っちゃ駄目だろう。確信犯的だよ。あとDVDのCMは駄目だよ。駄目すぎるよ(笑)。

*5:下着泥棒などの犯罪者にはいるようですが……

*6:ちなみにTBS地上波では映像が間に合わず、ラジオドラマ状態になっています。そんな例の富士山回の思い出です。no more 富士山