DVD付きコミックってどうよ

 今週は『獄・さよなら絶望先生』制作発表や『こどものじかん』(5)発売など、DVD付きコミックスの話題が目に付きました。来週には『スクールランブル』(21)や来月には『魔法先生ネギま!』(23)と刊行が相次ぎます。DVD付属コミックって、どっちがメインなんだよ!と言いたくなりますが、あくまでもコミックをメインに据えているのが、かつての食玩ブームや鞄付き女性ファッション雑誌とは異なり、ちょっとは好感を持っています。だけど、やっぱり騙されているような気が、少しばかりするのも事実です。てか、どのくらいの点数出版されていて、どのくらい売れているんだろう。
 と、ここいらでちょっとDVD付コミックについて調べてみました。抜け・間違いがあったら(というより、あると思うので)ご指摘いただけると幸いです。
註:付属DVDにアニメーションが含まれているもののみ。デジタルコミック、設定資料のみは除きます。下記表記「特典」は声優顔出しインタビューなどの非アニメーションを指します。

発売日 タイトル 価格 通常価格 単体価格 内容 版元
2004/08/26 僕は妹に恋をする(6) 1450 410 1040 オリジナル。10分*1 小学館
2004/09/30 一撃必虫!!ホイホイさん 3000 945 2055 オリジナル。10分。 メディアワークス
2004/11/26 僕は妹に恋をする(7) 1450 410 1040 オリジナル。10分*2 小学館
2005/02/25 僕は妹に恋をする(8) 1450 410 1040 オリジナル。10分*3 小学館
2005/06/25 交響詩篇エウレカセブン(1) 1050 567 483 TV1話+特典。 角川書店
2005/10/24 To Heart2(1) 980 578 402 TV1話ダイジェスト+特典。 メディアワークス
2005/12/16 スクールランブル(11) 780 410 370 TV1期、OVAダイジェスト。8cmDVD。 講談社
2006/06/25 ワンワンセレプーそれゆけ!徹之進(1) 1280 - 1280 TV1〜3話。DVDなし版はなし。 ウィーヴ
2006/07 ワンワンセレプーそれゆけ!徹之進(2) 1344 - 1344 TV4〜5話。DVDなし版はなし。 ウィーヴ
2006/08 魔法先生ネギま!(15) 1580 420 1160 OVAダイジェスト+特典。 講談社
2007/03/26 エマ(8) 1470 651 819 オリジナル+特典。 エンターブレイン
2007/05   To Heart2(3) 980 578 402 OVA1巻ダイジェスト+特典。 メディアワークス
2007/09/12 こどものじかん(4) 3980 630 3350 オリジナル。 双葉社
2007/11/16 ツバサ(21) 3360 420 2940 オリジナル。 講談社
2007/12/20 キミキス-various heroines-(3) 1680 580 1100 TVアニメOP,ED+特典。 エンターブレイン
2008/01/17 ツバサ(22) 2980 420 2560 オリジナル。 講談社
2008/03/17 ツバサ(23) 2980 420 2560 オリジナル。 講談社
2008/03/21 シャイナダルク(3) 2079 578 1501 オリジナルミュージッククリップ。4曲約20分。 メディアワークス
2008/03/17 みなみけ(5) 980 560 420 TV2期1話。 講談社
2008/07/11 こどものじかん(5) 3980 630 3350 TV1期ダイジェスト+特典。 双葉社
2008/07/17 スクールランブル(21) 3480 420 3060 オリジナル+特典。 講談社
2008/08/12 魔法先生ネギま!(23) 3570 420 3150 オリジナル。 講談社
2008/09/17 スクールランブル(22) 3360 420 2940 オリジナル。 講談社
2008/10/03 ロザリオとバンパイア seasonII(2) 1680 460 1220 TV1期ダイジェスト+2期第1話。 集英社
2008/10/17 さよなら絶望先生(15) 3470 420 3050 オリジナル。 講談社
2008/11/17 魔法先生ネギま(24) 3570 420 3150 オリジナル。 講談社
2009/02/17 さよなら絶望先生(16) 3470 420 3050 オリジナル。 講談社
2009/02/17 魔法先生ネギま!(25) 3570 420 3150 オリジナル。 講談社

 ざっくりと調べたところ、以上のような感じになりました。一番古いものは2004年の『僕は妹に恋をする』(小学館)でした。何かもっと古いものがある気もしますが……。
 素人目に見て、DVD付きコミックは書籍流通という意味で、おまけ付き雑誌の延長にあるものだと思います。例えば2005年の『交響詩篇エウレカセブン』、『To Heart2』、『スクールランブル』は同時期に放送されていたテレビアニメとの連動企画であり、単体価格で400円程度を上乗せしダイジェストDVDをセット販売することで、アニメからのファンを原作に取り込もうという意図であったり、原作ファンにもアニメに目を向けてもらおうという意図だと思われます。しかし、最近の講談社OADシリーズ(とかいう名称らしいです)なんかは、むしろOVA*4がメインになっています。となると変わってくるのは流通形態で、従来レコード店を中心に流通していたものが、書籍として書店で販売されるようになるわけです。とにかくOVAは数が出ないこの時代に、書籍販売として無理矢理数を出すことで価格を低下させ、より一層の数を出せると言う正のスパイラルに乗ろうとしているのでしょうか。
 価格を見てみると、最近の講談社のものなどだとテレビアニメ1話相当24分(OP、ED込み)で3000円前後です。一般的なOVAの例として、テレビ放映なしの純粋OVA*5である『最遊記RELOAD -burial-』なんかは6000円前後になっています。仮に同程度のレヴェルであるとしたとき、どうやって価格を半額程度に抑えられるのか、考えてみました。
 やはり大きいのは書店で販売されるメリットでしょう。『ツバサ』(21)がどれだけ売れたのかは分かりませんが、その後を続くように『スクールランブル』『魔法先生ネギま!』『さよなら絶望先生』がOAD化されることから、相当数売れたのではないかと思われます。そういえば先日の『スクールランブル三学期』完成記念試写イベントのアンケートにも「今後OAD化してもらいたいマンガ」という欄がありました。出せば出すだけ版元が儲かるような構造が、きっとそこにはあるのでしょう。
[2008-07-21追記]
 OAD付き『魔法先生ネギま!』(23)は某所の情報によると9万部らしいです。ちなみに別の某所からの情報によると、OVAとして発売された『ネギま!?』春スペシャルが1万7300枚、夏スペシャルが1万7500枚だそうです。価格はともに3675円。値段は今回のODAの3150円と大差ありません。売上額にして約2億2千万の差。この差が書籍流通の優位性なのではないでしょうか。まさかファンが急増したわけでもないですし、ね。
[2008-08-06追記]
 なんと富士見書房OADに参戦です。2008年12月22日発売(予定)の『仮面のメイドガイ』(9)はOAD(オリジナル1話+諸々)つきの限定版が、完全受注生産で発売されます価格は3990円で、漫画だけだと609円なので、OADの実価格は3381円になります。既刊8巻で累計110万部突破らしいので、1巻あたり14万部程度です。さあさ、今後もこのOADビジネスは成長していくのでしょうか。楽しみです。ちなみに講談社OADの『スクールランブル』は、OPはTVアニメ第1期のもので、EDは1期のものを少し変更しただけでした。たかだか2話でそこの予算をかけられないというのは理解できなくいないですが、講談社の妙なケチさが露呈しましたね。ファンサービスと思い込んで、新作にするべきなんだよね、本当は。って、この話はこのエントリを書いた7月13日の時点で、すでに試写イベントで見ていたから書けたのですが、一応発売前だったので自重しておきました。

*1:後に3つ+新規で完全版としてDVD発売。

*2:後に3つ+新規で完全版としてDVD発売。

*3:後に3つ+新規で完全版としてDVD発売。

*4:オリジナルビデオアニメーション講談社的に言えばOAD=オリジナルアニメーションDVD。

*5:近年多いテレビ先行放送した上でのOVAは、基本的には1クールに満たないテレビアニメだと自分では捉えています。